※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
昨年のグレコローマン学生二冠王の谷田昇大(拓大)と、高校五冠王者にして全日本選抜王者の前川勝利(早大)の決勝が予想されたグレコローマン120kg級。決勝のマットに上がっていたのは村木孝太郎(拓大)と前川で、村木が2-0で破り、初優勝を遂げた(右写真)。
準決勝で2年先輩の谷田と対戦し、1-0、1-0で破る殊勲を挙げた。「信じられなかったです。正直言って勝てるとは思っていなかったです」と驚きを隠さない。大会前の1週間、西口茂樹部長がグラウンドの切り方などを徹底的に指導してくれ、「それがうまくできました」と言う。
加えて、「いつも練習でやられているので、一発見返してやろう、という気持ちでした」という思いがあったそうだ。技術と精神とが最高に回転したのだろう。
決勝の前、谷田から「オレの分まで勝ってくれ」と励まされたという。闘う相手は1年生にして全日本選抜王者に輝いたスーパールーキーだが、「1年生王者なんて、そう簡単にならせてたまるか。何としても止めてやる、と意地になりました」と振り返る。
試合は第1ピリオドでこん身のローリングを決め、第2ピリオドのグラウンドの防御も必死に守り切って新人の快挙を阻止。自らに栄光を引き寄せた。「練習の通りにできた。第1ピリオドを取った段階で、勝利が見えてきました」と言う。96kg級までに拓大の優勝はなく、その「プレッシャーに襲われながら」の闘いに勝てたことは、今後に大きな自信になることだろう。
どちらかというとフリースタイルの方が得意。「こうなったら、フリースタイルででも優勝を狙います」と、優勝の喜びに浸る間もなく翌日からのフリースタイルに照準を定めた。また、「グレコローマンもいいな、と思うようになりました」とのことで、「今後、どちらを中心にやるかは分かりませんが、出る試合は全部勝ちにいきます」と話し、飛躍を誓った。