※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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【タシュケント(ウズベキスタン)、増渕由気子】アジア選手権は5月21日に当地で女子59㎏級から4階級と、男子グレコローマン55㎏級と60㎏級が行われた。
大会第3日は日本勢が大活躍。五輪V2の伊調馨(ALSOK)は、3試合を危なげなく勝ち抜いて2008年以来の優勝を遂げ、59㎏級の斉藤貴子(自衛隊)、67㎏級の井上佳子(クリナップ)もアジア選手権初優勝を飾った。72㎏級の浜口京子(ジャパンビバレッジホールディングス)は、初戦(2回戦)で昨年女王のグゼル・マニュロバ(カザフスタン)に惜敗。3位決定戦にまわり、気持ちを切らさずに銅メダルを獲得した。
これで女子は全日程が終了。大会第2日の松川知華子(ジャパンビバレッジH)を含めて4階級で優勝した日本は国別対抗戦でも優勝した。2位は軽量級の2階級を制した中国、3位はモンゴルだった。
男子グレコローマン60㎏級の倉本一真(自衛隊)は3位決定戦で元世界王者のディルショド・アリポフ(ウズベキスタン)と対戦、優位に進めたが、1-2と逆転負けでメダルを逃した。55㎏級の峯村亮(神大職)は初戦で破れて、敗者復活もなかった。
大会結果は以下のとおり。
【59kg級】齊藤貴子(自衛隊)優勝=11選手出場
1回戦 BYE
2回戦 ○[フォール、1P(F4-0)]Karina Aganesyan(タジギスタン)
《試合経過》 第1ピリオドに両足タックルから体固めでフォールした。
準決勝 ○[フォール、2P(3-0,F3-0)]Sukhee Tserenchimed(モンゴル)
《試合経過》 1分バックポイントから返して2点を追加。ラスト30秒に巻きの一本強いを受けるが斉藤はこらえる。第2ピリオドは、外無双で1点。両足タックルを切ってバックにまわって1点追加。ラスト10秒でもバックに回って3-0で勝った。
決 勝 ○[2-1(3-3,4-3,2-2)]Liu Gui(中国
《試合経過》 第1ピリオド、タックルをカウンターで投げられて3点を失うが、相手の技が尽きたところを押さえ込んで2点。フォール体勢に持ち込みカウント1点を追加するが逃げられてしまい、ビッグポイントの差で落とす。第2ピリオドも相手が巻きの一本背負いで3点を落とすが、その後押さえ込んでカウントが入って3点。ラスト15秒は足払いでバックポイントで4-3とした。第3ピリオドの後輩、相手は再び投げ技から2点を奪われたが、イニシャルを切り返した斉藤がローリングで2点を奪い、ラストポイント差で勝った。
【63kg級】伊調馨(ALSOK)優勝=11選手出場
1回戦 BYE
2回戦 ○[フォール、1P(F5-0)]Choe Jin-suk(韓国)
《試合経過》開始30秒でバックポイントを奪うと、ローリングで2点追加し3-0。1分11秒に両足タックルに入って、そこからフォールした。
準決勝 ○[フォール、2P(3-0,F5-0)]Tumentsetseg Sharkhuu(モンゴル)
《試合経過》 第1ピリオド、開始30秒で右タックルで1点。その後は相手のタックルをカウンターでバックについて1点。第2ピリオドは、開始8秒に両足タックルで1点。中盤には3点の両足タックルを決めるとそのままフォールした。
決 勝 ○[2-0(TF8-0,4-0)]Kim Ran mi(北朝鮮)
《試合経過》開始早々にタックルとニアフォールで1+2点。再びタックルで1点を追加し、ニアフォールなどで8-0でテクニカルフォール。第2ピリオドは、タックルで1点を奪うと、北朝鮮は強引にタックルを仕掛けてくるが、伊調はすべて切ってカウンターでバックポイントを重ねて4-0とした。
【67kg級】井上佳子(クリナップ)優勝=7選手出場
1回戦 ○[フォール、1P(F6-0)]Ayimgul Allamuratova(ウズベキスタン)
《試合経過》第1ピリオド、高いタックルからテークダウンし、時間をかけてフォールした。
準決勝 ○[フォール、2P(2-0,3-0)]Tatyana Zakharova(カザフスタン)
《試合経過》バックポイントをとって1点。後半にも近いタックルから1点。第2ピリオドも、タックルから足を刈る連続技でバックポイントを奪うと、アンクルホールドに移行。これは無得点に終わったが、ラスト10秒に相手が強引な反り投げを無難に潰してフォールした。
決 勝 ○[2-0(1-0,TF6-0)]Bayarzaya Tsedendorj(モンゴル)
《試合経過》 第1ピリオド、組み合って押しながら場外へタックルで1ポイント。第2ピリオドは、34秒に高い両足タックルを決めて1点。1分すぎに相手が両足タックルにきたところをバックに回って1点。そこから怒涛の連続アンクルホールドを決めて6-0とした。
【72kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ)3位=9選手出場
1回戦 BYE
2回戦 ●[0-2(0-1,0-3)]Guzel Manyurova(カザフスタン)
《試合経過》第1ピリオドは、浜口がフェイントや落としを使って積極的に試合を展開するが無得点。クリンチはマニュロバに出て0-1とされた。第2ピリオドも主導権は浜口が握るが、ラストにポイントを取られた。
3決戦 ○[2-0(3-3,4-0)]Preet Kaur Gursharan(インド)
《試合経過》 第1ピリオド、浜口がタックルに行ったところをスイッチされて1点を奪われる。再び、タックルにいったところを返されて2点を失ったが、すぐさま相手に乗って2点を返す。ラスト10秒にうまくバックに回って3-3のラストポイント差でピリオドを獲得。第2ピリオドは、序盤から組み合う。1分すぎに浜口がタックルで1点。インドは取り返そうと必死にタックルを繰り出すがすべて浜口が切ってバックポイントにつなげた。
【55kg級】峯村亮(神奈川大学職) 11手出場
1回戦 ●[1-2(0-3,2-0.0-1)]Lee Jung-baik(韓国)
《試合経過》グラウンドで2度目のローリングをこらえきれず2失点。さらに1点を失い第1ピリオドが終了。第2ピリオド、ラスト1秒にローリングが決まって第3ピリオドへ。第3ピリオドもグラウンド勝負になり、優先権を得た韓国が峯村を場外へ投げて終了。 反り投げが決まって1失点。
※敗者復活戦へ回れず
1回戦 ○[2-0(0-4,0-1)]Kim Nam il(北朝鮮)
《試合経過》 開始14秒で相手から出血。2度試合が止められたが無事に再開。無得点でスタンドは終了。グラウンドは赤の倉本がオフェンス。2度の注意で青の北朝鮮に2ポイントコーション(倉本がクロスボディからの攻撃のため)が与えられ、倉本が2-0とリード。グラウンドで2点を追加して4-0で折り返し。第2ピリオドは、グラウンドで守った倉本が1-0でものにした。
2回戦 ●[フォール、1P(F3-3)]Almat Kebispayev(カザフスタン)
《試合経過》 スタンドではカザフスタンに差されて、倉本は万歳の格好。グラウンドでは、クロスボディから豪快な俵返しを打ち3点を奪うが、その直後にがぶり返しから逆転フォールされてしまった。
敗復戦 ○[2-0(3-0,4-0)]Ahmad bilal Darwish(シリア)
《試合経過》 第1ピリオド、相手の腕を取ってスタンドから一本背負いで3-0。第2ピリオドも投げ技から1点を奪いローリングで2点。グラウンドでも場外ポイントで4-0とした。
3決戦 ●[1-2(0-1,3-0,1-4)]Dilshod Aripov(ウズベキスタン)
《試合経過》 第1ピリオドのスタンドはノーポイント。赤の倉本が先にオフェンスに回るが、クラッチできずに終わる。第2ピリオドはスタンドからポイントを奪って、バックリフトで加点。第3ピリオド、バテたアリポフをスタンドでどんどん追い込む倉本は、胴タックルでバックポイントをゲット。だが、スタンド終盤にアリポフに足を踏まれてバランスを崩したところを押さえ込まれて時間ギリギリでフォールされた。日本陣営は「足を踏まれた」とチャレンジを要求したが失敗。メダルには届かなかった。