※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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【タシュケント(ウズベキスタン)、増渕由気子】キッズからレスリングに取り組み全日本のトップに君臨している選手がいる一方で、全日本トップクラスには、男子グレコローマン74㎏級世界選手権代表の金久保武大(ALSOK)や、JOCアカデミーで注目されている17歳の村田夏南子(東京・安部学院)など柔道をバックボーンとし、高校や大学への進学をきっかけにレスリングに転向する選手も数多くいる。
アジア選手権女子59㎏級で初出場初優勝を飾った斉藤貴子(自衛隊)は、8歳から柔道を始め、大学までは柔道部に所属。拓大在学中に参加したビーチレスリングをきっかけに、社会人になってからレスリングに転向した選手だ。
「柔道時代にはナショナルチームに入ることなんて考えられなかった」と話す斉藤は、今大会、「JAPAN」のシングレットをまとって立派に3試合を勝ち抜いた。今年28歳を迎える遅咲き。表彰式では思わず涙がこぼれ出てしまった。
圧巻だったのは決勝戦の中国戦だ。大学卒業後に身に付けたタックルを中心に前に出てポイントを狙った。途中、中国選手のカウンター攻撃で失点も目立ったが、組みついた瞬間の足払いなど柔道技も取り入れて攻撃。第3ピリオドのラストは投げられて2点を失うピンチを迎えたが、そこから体を入れ替えて2点を奪い、2-2のラストポイントによって中国に競り勝った。
「今大会の課題を克服して世界選手権でも金メダルを取りたいです」。レスリング歴6年目、今年28歳を迎える斉藤がアジア女王をステップに世界タイトルに挑戦する。