※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子)
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今年の世界選手権代表で6人ものOBが代表に決まった拓大。現役学生たちは先輩の勢いを受け継ぎ、2年ぶりの東日本学生リーグ戦優勝を目指している。(右写真=2009年大会で優勝し、胴上げされる須藤元気監督)
拓大は2009・10年と2年連続で学生の三冠王を達成し、近年の学生界の主導権を握っている。3月中旬には盛大な祝勝会を行う予定だった。須藤元気監督はじめ関係者が楽しみにしていたが、東日本大震災の影響で中止に。須藤監督は「残念なことですが、デザートは後に取っておいた方がいい。今年、3年連続三冠王を達成して、盛大な祝勝会をしますよ」ときっぱり宣言した。
■「優勝したい」ではなく、「優勝します」-
全日本学生王座決定戦が今年から廃止され、大学の団体タイトルは3大会となった。四冠から三冠が最高タイトルとなったため、「3年連続三冠」という須藤監督の目標を達成するためには、昨年、早大に負けて優勝を逃したリーグ戦の優勝が必須となる。須藤監督は「戦力は正直、早大の方が上手です」とライバルの力を認める。だが、目標は「優勝しかありません」と強気な姿勢は崩さない。それは今年のスローガンにあった。
「枠を作らないチーム」―。
ある4年生部員が須藤監督に「監督、優勝したいです」と抱負を語ると、監督はその言葉を訂正させた。「『優勝したい』ではなく、『優勝します』と言わないと。強さは経験ではなく、意思だと思います。確固たる意思を持つことが重要です」。
優勝したいという希望から、優勝すると決め、自身を高めていくチーム作りが今年の拓大のテーマだ。これで、他大との自力の差を埋めていく作戦だ。(左写真=軽量級を支える60kg級の鈴木康寛)
昨年、無冠から一気に大学四冠王となり、全日本選手権優勝、そして今年の世界選手権代表に決まった岡太一(現自衛隊)がブレークしたきっかけは、須藤監督のメンタルケアが功を奏した部分が大きい。今年の須藤イズムが拓大学生とどのようなコラボになるのか楽しみだ。
谷田昇大副主将は「リーグ戦に向けてチーム全体の意識がまとまりつつあるので、いい流れで向かっていきたい。ひとつひとつ(試合を)大切にすることは大事ですが、見据えているのは決勝で早大とぶつかることです。(去年のJOC杯で負けている)前川(勝利)を倒すぞと思っています」と抱負を語った。
■昨年主将からの伝言「優勝はあいつら次第」
昨年主将だった岡本佑士(現警視庁)は今年からコーチを務める。昨年のリーグ戦で早大に負けて連覇がならなかった悔しさは、「後輩がきっと敵をとってくれる」と信じている。岡本の後釜として66kg級で闘うのは、4月のJOC杯ジュニアオリンピック同級で優勝した2年の岩渕尚紀。「練習を見ている限り、自分より強いです。自分が抜けた心配はない」と一押しした。
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ただ、84㎏級から120級まで幅広く活躍した岡に代わる選手は「いないですね」とポツリ。高谷惣亮主将が、4月の全日本選抜選手権で足を負傷しており、重量級は未知数のままで迎える。
となると、要は軽量級。エースは60㎏級の全日本大学王者、鈴木康寛(3年)を軸に試合を組み立てる。55㎏級は佐々木晋が濃厚だ。岡本コーチは「晋(佐々木)はグレコローマンの選手。他大学からノーマークだと思うので、暴れてきてほしい」とエールを送った。(右写真=左から谷田副主将、佐々木、鈴木、岡本コーチ、岩渕、森下大地)
岡本コーチは今年の戦力を、「正直、どこにでも負ける可能性がある」と分析し、早大以外でのつまずく可能性も予測する。「強いですけど、安定はしていいない。あとは、自分たち次第でしょう」と、勝利への道はメンタル面だと言い切った。
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昨年の決勝を争った早大と拓大、大穴の国士舘大、古豪復活を目指す中大を紹介してきたが、山梨学院大や日大、専大、東洋大など昨年の一部上位チームは「優勝」を目指して準備を積んでいる。また、昨年二部リーグから昇格した防大の奮闘はいかに!? 見どころたくさんの東日本リーグ戦は17日から東京・駒沢体育館で開幕を迎える。
3年連続で拓大-早大の一騎打ちになるのだろうか、それとも―。学生レスリング界で最も伝統のある“熱き戦い2011年”がいよいよ始まる。