※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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全日本王者を含む男子両スタイルの選抜チームが1月27日、成田発の全日空で米国コロラドスプリングズへ向けて出発した(右写真)。米国ナショナルチームの常設練習地で練習や対抗戦をこなしたあと、2月3~4日に同地で行われる「デーブ・シュルツ国際大会」に出場。2月6日に帰国する。
主にフリースタイルを指揮する佐藤満監督(強化委員長=専大教)は「今までやってきたことを国際大会で試してほしい。今の実力を出し切り、今後の課題を見つけてほしい」と要求。昨年の大会ではいいところがなかった重量級選手に対しては、「1年間やってきて、変わったところを見せてほしい。自分が重量級を引っ張るという積極性を見せてほしい」と望んだ。
グレコローマンの伊藤広道コーチ(強化副委員長=自衛隊)は「自分の力をが通用するかどうかのを見極め、今後のトレーニングメニューを再考してほしい」と要望したほか、米国選手はマットを降りるとものすごくフレンドリーであるので、「マット外でも積極的に交流し、緊張とリラックスの使い分けも勉強してほしい」と話した。
重量級は昨年も全日本王者が参加したが、フリースタイルもグレコローマンも大会での成績は散々だった。しかし、そこからはい上がり、アジア選手権やアジア大会ではメダルを獲得する選手も生まれた。
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同行する重量級担当の小平清貴コーチ(警視庁)は「少しずつ力をつけているのは間違いない。追い込んだ練習をやらせ、オリンピック出場権を取れるように頑張らせたい」と気合を入れる。米国選手は相手に圧力をかけて前に出る能力がすぐれているという。どういう技術をもって前に出ていくのかなど研究したいこともあるそうで、「コーチとしても勉強してきます」と話した。(左写真:出発前にコーチ陣=右側=の話を聞く選手たち)
2008年北京五輪銀メダリストのフリースタイル55kg級の松永共広(ALSOK)は、国内で復帰して以来、初の国際大会になる。「高地なので体力作りに適している。体力を戻し、国際試合の勘を取り戻してきたい」と言う。しかし、国内の55kg級のレベルが高いため、「緊張感は日本で闘う時の方が上でしょう」とのこと。五輪決勝で負けたヘンリー・セジュド(米国)が復帰してコロラドスプリングズで練習を再開したとの報にも、特別な反応はなかった。
昨年、重量級を引っ張るべく成績を残したフリースタイル96kg級の磯川孝生(徳山大職)は「勝負の年の最初の大会。重量級もオリンピックに行くんだ、という強い気持ちを持って挑みたい。フリーもグレコも、みんなで切磋琢磨し、励まし合いながら、お互いのレベルを上げたい」ときっぱり。アジア大会で銅メダルを取る殊勲を挙げたが、「オリンピック出場とは関係のない成績。そのことは忘れ、次のチャレンジに気持ちを向けたい」と、勝負の年にかける並々ならぬ意気込みを見せた。
遠征選手団は下記の通り。
【監督】佐藤満(専大教)、【コーチ】伊藤広道(自衛隊)、久木留毅(専大教)、小平清貴(警視庁)
【トレーナー】竹内博昭(ハンズコーポレーション)
【帯同審判】沖山功(香川・香川中央高教)
【フリースタイル選手】
▼55kg級 松永共広(ALSOK)
▼60kg級 前田翔吾(ニューギン)
▼66kg級 藤本浩平(警視庁)
▼84kg級 松本真也(警視庁)、松本篤史(ALSOK)
▼96kg級 磯川孝生(徳山大職)
▼120kg級 荒木田進謙(専大クラブ)
【グレコローマン選手】
▼55kg級 峯村亮(神奈川大職)
▼60kg級 倉本一真(自衛隊)
▼66kg級 岡本佑士(拓大)
▼74kg級 角功介(自衛隊)
▼84kg級 岡太一(拓大)
▼96kg級 北村克哉(ドン・キホーテ)
▼120kg級 新庄寛和(自衛隊)