※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【男子フリースタイル74kg級 準決勝】
長島和幸(赤=クリナップ)○[2-0(3B-3,2-1)]●高谷惣亮(拓大)
2008年北京五輪の国内最終予選だった2007年12月の全日本選手権。男子フリースタイル74kg級に新星が現れた。高校三冠王者の高谷惣亮(京都・網野高=現拓大)で、国体王者らを破って決勝進出。前年王者の長島和幸(クリナップ)と一歩も引かぬ激闘を演じ、第3ピリオド、0-0からクリンチの攻撃権を獲得。18年ぶりの高校生の全日本王者誕生が目前となった。
しかし長島が粘り、絶体絶命のピンチを脱して勝利。意地を見せて全日本王者を死守した。その後、高谷は学生間では無敵の存在となったが、66kg級から上がってきた鈴木崇之(警視庁)が“天敵”となってしまうなどし(4戦4敗)、長島と闘う機会がなかった。
今大会で、そのカードが3年ぶりに実現。長島がタックル返しとアンクルホールドでポイントを取り、ピリオドスコア2-0(3B-3,2-1)で勝って3年前の嫌な思いを払しょくした。同時に、「鈴木が高谷をつぶしてくれているから、日本代表になっている。長島にとって鈴木は闘いやすいタイプ」などといった外野の声を封じた。
しかし、常に仕掛けていたのは高谷の方で、長島は相手の動きを見てしまった感は否めない。3年前の嫌な思いがを尾を引いていたからか、それとも“仕掛けさせた”作戦だったのか? いずれにせよ、スコアからしても実力差は伯仲している。高谷にとっては“天敵退治”が先決となろうが、ロンドン五輪の代表争いでも大激闘を演ずることになるか。(撮影=矢吹建夫) 《
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