※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【男子グレコローマン96kg級 決勝】
北村克哉(赤=ドン・キホーテ)○[2-0(4-0,1-0)]●有薗拓真(山梨学院大)
国立スポーツ科学センター(JISS)ができて以来の体力測定で、日本レスリング界の背筋力の歴代ナンバーワンは男子グレコローマン96kg級の北村克哉の出した260kg。アレクサンダー・カレリン(ロシア)の400kgは別格としても、これだけの数値を出す選手は、外国でもそう多くはいまい。外国選手にも押し負けることが少なくなった北村の成長は、体力強化から来ているのは間違いない。
全日本選手権でも、初戦から決勝まで安定した足腰で相手の攻撃をしのぎ、実力差を見せつけて優勝を飾った。決勝の第1ピリオドはグラウンドでガッツレンチも決め、立ってよし、寝てよしの強さを発揮。今年の国際舞台での活躍が楽しみだ。
五輪V2を含めて世界を6度制した米国史上最高のレスラー、ジョン・スミスは「レスリングはパワーではない。技だ」と言った。当時の日本協会・笹原正三会長は「パワーがあって、パワーに自信があるから、そう言う。パワーのない選手は、絶対に『レスリングはパワーではない』とは言わない」と説明した。パワーはレスリングの必須条件。日本屈指のパワーファイターの今後が期待される(撮影=矢吹建夫)