※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
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今年の全日本選抜王者で、11月のアジア大会(中国)で金メダルを獲得し、満を持して全日本選手権に出てきたの男子フリースタイル66kg級の米満達弘(自衛隊)は準決勝、決勝を苦戦しながらも競り勝ち、2年ぶりの優勝を遂げてアジア王者の意地を見せた(右写真)。
「ボール(ピックアップ)に頼るようなレスリングをしたくないのですが、準決勝も決勝もそういう試合になってしまいました。2人とも大学時代から一緒に練習したり、試合しているので、お互い手の内を知り尽くしているので闘いづらかったのは確かです」と、苦戦の要因を分析。9月に世界選手権(ロシア)、11月にアジア大会とたて続きにビッグマッチが続いた連戦の疲れが心配されたのも事実だが、「それを言ってしまえば言い訳になってしまいます。なんとしても天皇杯で優勝したかったので、この大会に向けた練習も積んできました」と言う。
準決勝の藤本浩平(警視庁)戦では第1ピリオドをポイントを奪えないまま取られた。だが、アジア大会金メダリストの意地で決勝に勝ち上がる。ところが決勝の小島豪臣(K-POWERS)戦では組み手争いからタックルを仕掛けるも、小島にがぶられてポイントを奪えず、0-0で終了。ボールピックアップは小島が優先権を得て、タックルからのテークダウンを許して第1ピリオドは小島にとられた。
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第2ピリオドも両者ポイントなく、ボールピックアップとなり、今度は米満が優先権を取り、テークダウンでポイントを奪う。第3ピリオドも0-0で試合が進み、2010年を最高の形で締めくくりたい米満は残り時間30秒のところで、思い切って片足タックルへ。両足に持ち変えてテークダウンに成功して1ポイント奪い(左写真)、第3ピリオドを制して優勝を決めた。
「疲れはありましたが、自分で振り返っても動きが悪い部分はありましたが、優勝できてホッとしています。これが始まりだと思って、また頑張ります」と結び、来年のさらなる飛躍を誓った。